【ケース9】遺言書があったけれど…

父が自分で書いた遺言書。せっかく書いてくれたけど…

父の敦史が死亡。

相続人は、姉の綾子、長男である私健二、妹の里美の3人。
父は、以前から、遺言書を書いてある、と言っていた。

 

父が亡くなった後、遺品を整理していたら、仏壇から父が書いた遺言書が出てきた。
父の筆跡だと思う。
「遺言書 私の自宅と駐車場は、長男健二に任せる。
平成3年5月6日 山田敦史 ㊞」
姉と妹に見せたところ、姉はこう言った。

「平成3年に作った遺言書ってことよね。平成10年に家を建て替えてるじゃない。
前の家はあなたにあげるつもりだったかもしれないけど、建て替えた家はあなたにあげるつもりはなかったんよ。」

妹はこう言いだした。

image18「駐車場って書いてあるけど、駐車場は西町と東町の2か所あるでしょ。どっちも、兄ちゃんにあげるつもりなんかないよ。どっちかは兄ちゃんにあげるっていう意味じゃないの」

姉はさらに続ける。
「よく読むと、『任せる』って書いてあるだけで、『あげる』とは書いてないわ。管理を任せるだけじゃないの。あれ、この字、ちょっとお父ちゃんの字と違うような気がする。」

いや、親父は、絶対、息子である僕に不動産を継がせたいと思っていたに違いないのに、
すんなり行きそうにない気配・・・。

 

【弁護士からひと言!】

■公正証書遺言の作成、まずは弁護士に相談を■

遺言書には、<自筆証書遺言>、<公正証書遺言>、<秘密証書遺言>の3種類がありますが、よく利用されているのは、<自筆証書遺言>と<公正証書遺言>です。

<自筆証書遺言>は、その名のとおり、自分で書く遺言ですが、全文を自筆で書く必要があり、日付の記載や押印など、有効な遺言として認められるためには、いくつかの要件をみたしていなければなりません。

そのうえ、<自筆証書遺言>は、専門家の助言を受けることなく書かれる方が多いので、遺言者の意思を正確に反映した内容となっていなかったり、趣旨が曖昧である場合も少なくありません。

そのため、<自筆証書遺言>の内容をどのように解釈すべきかをめぐって裁判になることもあります。

趣旨不明の遺言書は、裁判で無効とされることもあります。

裁判所は、遺言書を書かれるに至った事情なども踏まえ、できるだけ遺言書が有効になるように判断する傾向にありますが、遺言書を書いた当のご本人はすでにお亡くなりになっているのですから、裁判所の判断が本当にご本人の意思どおりであるかはわかりません。

また、<自筆証書遺言>については、そもそも、本当に遺言者が書いたものか、という点をめぐって裁判になることもあります。せっかく、ご自身の思いを残そうと遺言書を作成されたのに、残念なことです。

このような事態を避けるため、遺言書を作成する場合には、<公正証書遺言>をお勧めします。

<公正証書遺言>は、法務大臣が任命する公証人が遺言者の遺言の内容を聞き取って遺言書として作成するものです。公証人は実印と印鑑証明書などで本人確認をしますので、遺言者自身の遺言書かどうかが争いになることは、まず、ありません。

また、公証人は法律実務家の中から任命されていますので、遺言者の希望される内容を聞き取り、法律にのっとってご希望にそった内容になるよう遺言書を作成します。ですから、趣旨が不明な遺言書になる心配はありません。

また、<自筆証書遺言>は1通しかありませんので、失くしてしまえば内容がまったく確認できないという危険性があります。もし、コピーが残っていても、コピーの<自筆証書遺言>は遺言として認められません。

他方、<公正証書遺言>は、公証人のいる公証役場で原本を保管し、遺言者の方には公証人の証明付きの正本、謄本を渡してくれます。正本、謄本を紛失しても、公証役場で再発行してもらうこともできます。

そして、<公正証書遺言>の場合は、この正本、謄本で不動産や株式の名義変更、預貯金の解約などができるのです。

相続が開始した後の手続も、<自筆証書遺言>より<公正証書遺言>の方が簡便です。

遺言を作成する場合は、ぜひ<公正証書遺言>にしておくべきですし、その準備は弁護士がすべて調えます。

遺言書作成手続
遺言書が見つかったら

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